店舗のリフォームを検討するとき、最も気になるのは「費用をどう抑えるか」ではないでしょうか。
開業資金や運転資金が必要な中で、内装や設備にかけられる予算は限られています。とはいえ、むやみにコストを削ると、仕上がりに妥協が出たり、集客力に影響したりする恐れがあります。大切なのは、「安くすること」ではなく、「お金の使いどころを見極めること」です。
この記事では、店舗リフォームの費用を抑えるための代表的な3つの方法として、居抜き物件の活用・補助金の申請・分離発注の仕組みをそれぞれのメリット・デメリットとあわせてわかりやすく解説します。
費用をうまくコントロールしながら、理想の店舗づくりにつなげたい方は、ぜひ最後までお読みください。
店舗リフォームの費用は、同じ広さ・同じ業種でも、条件次第で数百万円単位の差が出ることがあります。
「なぜこんなに高いのか」「もっと安くできるのでは」と感じたことがある方は、まず費用に差がつくポイントを押さえておきましょう。全体像が見えると、どこにお金をかけてどこを抑えるか、判断がしやすくなります。
店舗リフォームの費用を左右する最大の要因が、物件の状態です。
前のテナントの内装や設備がそのまま残っている「居抜き物件」と、何もない状態の「スケルトン物件」では、坪単価に大きな差があります。一般的な目安として、居抜き物件は坪単価15万〜40万円、スケルトン物件は坪単価30万〜80万円とされています。
たとえば20坪の飲食店の場合、居抜きなら300万〜800万円、スケルトンなら600万〜1,600万円と、同じ広さでも倍以上の開きが出ることがあります。物件選びの段階で、費用の大枠がほぼ決まるといっても過言ではありません。
店舗リフォームの費用は、業種によっても大きく異なります。必要な設備の種類と数が、そのまま費用の差になるからです。
たとえば飲食店では、厨房設備・排気ダクト・ガス配管・グリストラップなど、専門的な設備工事が多く発生します。美容室であれば、シャンプー台の給排水工事や鏡まわりの電気工事が必要です。一方、小売店やアパレルショップは設備工事が比較的少なく、内装仕上げの比率が高くなります。
同じ坪数でも、飲食店の内装工事費は小売店の1.5〜2倍になることがあります。自分の業種では何に費用がかかるのかを把握しておくと、見積もりの内容が理解しやすくなります。
費用を抑えたいと思うのは自然なことですが、大切なのは「とにかく安く」ではなく「お客様の目に触れる部分と、そうでない部分でお金の配分にメリハリをつける」という考え方です。
たとえば、お客様が直接目にするファサード(外観)や客席まわりの内装には予算をしっかりかけ、バックヤードや倉庫スペースはシンプルな仕上げにする。こうしたメリハリのある予算配分が、費用を抑えながらも集客力のある店舗に仕上げるコツです。
次の章からは、この「配分の最適化」を実現するための具体的な3つの方法を解説していきます。
店舗リフォームの費用を大幅に抑える方法として、まず検討したいのが居抜き物件の活用です。
うまく活用すれば数百万円単位でコストを削減できる一方で、そのまま使おうとすると思わぬ落とし穴にはまることもあります。メリットと注意点の両方を押さえておきましょう。
居抜き物件とは、前のテナントが使っていた内装・設備・什器がそのまま残っている物件のことです。
スケルトン物件のようにゼロから作り上げる必要がないため、解体工事費・設備購入費・内装工事費を大幅にカットできるのが最大のメリットです。とくに飲食店の場合、厨房設備やダクト、空調などをそのまま引き継げれば、設備費だけで200万〜400万円ほど浮くケースもあります。
また、前テナントの内装が自分の業種やコンセプトに近い場合は、手を加える範囲が少なく済むため、工期も短くなります。その分、家賃の発生期間を抑えられるのも見逃せないポイントです。
居抜き物件を活用する際に大切なのが、「何をそのまま使い、何を変えるか」の見極めです。すべてそのまま使おうとすると、開業後に不具合が出たり、自分の店舗のコンセプトとちぐはぐな仕上がりになったりすることがあります。
見極めの基準として、次のように考えるとわかりやすくなります。
・そのまま使いやすいもの:空調設備・排気ダクト・給排水管・電気配線など、機能に問題がなければ活かせるインフラ部分
・手を加えたほうがよいもの:客席まわりの内装・ファサード(外観)・看板など、お客様の印象に直結する部分
・必ず確認すべきもの:厨房機器や空調の稼働状況・配管の劣化具合・電気容量
とくに設備の動作確認は、契約前に必ず行ってください。見た目はきれいでも、内部が劣化していて入居後すぐに修理や交換が必要になる、というケースは少なくありません。飲食店の開業リフォームについてはこちらの記事もあわせてご覧ください。飲食店の開業、リフォームは予算を抑えて集客のできる店舗へ!
居抜き物件を借りるときには、「造作譲渡契約」という取り決めが発生することがあります。これは、前テナントが残した内装・設備を有償で引き継ぐ契約のことです。
造作譲渡の費用は数十万〜数百万円になることもあるため、物件の賃料だけでなく譲渡費用も含めたトータルコストで判断する必要があります。「居抜きだから安い」と思い込んでいると、譲渡費用を含めるとスケルトンとあまり変わらなかった、ということも起こりえます。
もうひとつ注意したいのが、退去時の原状回復義務です。居抜きで入居しても、契約内容によっては退去時にスケルトン状態に戻す義務を引き継いでいることがあります。入居前に賃貸借契約書の原状回復条項を必ず確認しておきましょう。
店舗リフォームの費用を抑えるもうひとつの方法が、国や自治体の補助金・助成金の活用です。
「補助金は大きな企業向けでは」と思われがちですが、小規模な個人店舗でも対象になる制度があります。申請にはルールや期限があるため、早めに情報を押さえておくことが大切です。
店舗リフォームで最も活用しやすい補助金のひとつが、「小規模事業者持続化補助金」です。
この制度は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援するもので、通常枠では補助率2/3、最大50万円の補助を受けられます。店舗の内外装工事費のほか、看板やチラシの制作費、ウェブサイトの構築費なども対象経費に含まれます。
対象となる「小規模事業者」の基準は業種によって異なりますが、飲食業・小売業であれば常時雇用の従業員5名以下、サービス業(美容業など)も同じく5名以下が目安です。個人事業主も対象に含まれるため、開業したばかりの方にも使いやすい制度です。
申請には経営計画書の作成が必要です。慣れない方は、地域の商工会議所でサポートを受けられるので、相談してみることをおすすめします。
国の補助金に加えて、各自治体が独自に実施している店舗改装向けの補助金もあります。
たとえば、商店街の活性化を目的とした改装補助金や、創業支援の一環として内装工事費を助成する制度などがあります。補助額は自治体によって異なりますが、数十万円規模の助成を受けられるケースもあります。
自治体の補助金は予算が少なく、募集期間が短いことが多いため、早めの情報収集がポイントです。お住まいの地域や出店予定エリアの自治体ホームページで、「店舗改装」「創業支援」「商店街活性化」といったキーワードを確認してみると、使える制度が見つかることがあります。
国の補助金と自治体の補助金は、制度によっては併用できる場合もあります。両方を組み合わせられれば、自己負担をさらに抑えられる可能性があります。
補助金を活用するうえで、見落としがちな注意点が3つあります。
■注意点1.補助金は「後払い」であることです。工事費を先に自分で支払い、審査を経て補助金が振り込まれる仕組みのため、工事費の全額を一旦用意する必要があります。資金計画にこの立て替え期間を組み込んでおきましょう。
■注意点2.申請期限と予算上限です。多くの補助金は募集期間が決まっており、予算が上限に達すると早期に締め切られることがあります。「申請しようと思ったら締め切りが過ぎていた」ということがないよう、リフォーム計画の初期段階から情報を集めておきましょう。
■注意点3.対象経費の範囲です。補助金によって「内装工事費は対象だが設備購入費は対象外」など、対象となる経費の範囲が異なります。見積もりの段階で、どの項目が補助対象になるかを業者と一緒に確認しておくと、申請がスムーズに進みます。
3つめの方法が「分離発注」です。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、うまく活用すれば工事費を10〜20%ほど抑えられることもあります。
ただし、すべてのケースに向いているわけではありません。メリットとデメリットの両面を理解したうえで、自分の状況に合うかどうかを判断しましょう。
通常の店舗リフォームでは、1社の施工会社にすべてを任せる「一括発注」が一般的です。内装・電気・設備・塗装など、複数の工事をまとめて1社に発注し、その会社が下請けの専門業者を手配する流れになります。
一方、「分離発注」は、施主(店舗オーナー)が工事の種類ごとに直接専門業者へ発注する方法です。たとえば、内装工事はA社、電気工事はB社、設備工事はC社というように、工種ごとに個別に契約します。
間に入る元請け会社の管理費や中間マージンがなくなる分、トータルの費用を抑えられるのが分離発注の最大のメリットです。
分離発注は、すべての店舗リフォームに向いているわけではありません。向き不向きを整理すると、次のようになります。
向いているケース
・工事の内容がシンプルで、工種の数が少ない(内装+塗装のみ、など)
・施主自身にリフォームや建築の知識がある
・知り合いの職人や信頼できる業者とのつながりがある
向かないケース
・厨房設備や給排水など、複数の工種が絡む大規模な工事
・工事のスケジュール管理や業者間の調整を自分で行う時間的余裕がない
・リフォームが初めてで、何をどこに頼めばいいかわからない
分離発注では、各業者のスケジュール調整や品質管理を施主自身が行う必要があります。工種同士の段取りが噛み合わないと、工期が延びたり追加費用が発生したりするリスクがある点は理解しておきましょう。
分離発注や施主支給でコストを抑える際にも、「ここはプロに一括で任せたほうがいい」という工事があります。
電気工事・ガス配管工事・給排水工事は、法令で有資格者による施工が義務づけられているものが多く、安全性に直結する領域です。この部分を無理にコストカットしようとすると、施工不良や法令違反のリスクにつながります。
また、消防設備や排煙設備など、店舗の営業許可に関わる工事も、専門業者に任せるのが安全です。飲食店であれば保健所の基準を満たす厨房設計も、経験のある業者に依頼するほうが確実です。
「お客様の目に触れる部分」と「安全・法令に関わる部分」には予算を確保し、それ以外の部分で分離発注や施主支給を活用する。このメリハリが、費用を抑えながらも安心して開業できる店舗づくりのコツです。
費用の配分や発注方法で迷ったときは、まずリフォームのプロに相談してみてください。全体の予算感と優先順位を一緒に整理してもらえると、計画が一気に進みやすくなります。美容サロンの開業リフォームについてはこちらの記事もご参考にどうぞ。美容サロン開業・リノベーションをお考えの方必見!!
店舗リフォームの費用を抑えるには、居抜き物件の活用・補助金の申請・分離発注という3つの方法があります。それぞれにメリットと注意点がありますが、自分の店舗の状況に合わせて組み合わせることで、大きなコスト削減につなげることができます。
ただし、費用を抑えることだけに意識が向くと、お客様の目に触れる部分や安全に関わる部分まで削ってしまい、あとから後悔するケースもあります。大切なのは「とにかく安く」ではなく、限られた予算の中でお金の配分にメリハリをつけることです。
「居抜き物件の設備はそのまま使えるのか」「自分の店舗で使える補助金はあるのか」「どの工事を分離発注にできるのか」。こうした判断は、店舗リフォームの経験が豊富な業者に相談するとスムーズに進みます。
イエスリフォームでは、飲食店や美容室、小売店など、さまざまな業種の店舗リフォームを手がけてきました。費用の抑え方から補助金の活用まで、物件探しの段階からご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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