「オフィスが手狭になってきた」「内装が古くなって企業イメージに合わなくなった」。こうした課題に直面したとき、選択肢は大きく2つあります。今のオフィスの内装をリフォームするか、新しいオフィスに移転するかです。
移転にはまとまった費用と時間がかかりますが、リフォームですべての課題が解決できるとも限りません。判断を誤ると、「リフォームしたけど結局手狭なままだった」「移転したけど内装リフォームで十分だった」という後悔につながります。
この記事では、オフィスの内装リフォームと移転を、費用・工期・効果の3つの軸で比較し、「自社にはどちらが合っているか」を判断するための基準をわかりやすく解説します。費用を抑えるための具体的なポイントもあわせて紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
リフォームか移転かを判断するうえで、まず押さえておきたいのが費用の違いです。
「リフォームのほうが安い」というイメージを持っている方は多いですが、実際にどれくらいの差があるのか、具体的な数字で比較してみましょう。
オフィスの内装リフォームは、工事の範囲によって費用が大きく変わります。
■ 部分改装(レイアウト変更・壁紙張り替え・照明交換など)
既存の設備や間仕切りを活かしながら部分的に手を加える工事です。坪単価5万〜10万円が目安で、50坪のオフィスであれば250万〜500万円程度になります。
■ 全面改装(間仕切りの撤去・再構築、床・壁・天井の一新、電気設備の更新など)
内装をほぼゼロから作り直す工事です。坪単価20万〜30万円が目安で、50坪のオフィスであれば1,000万〜1,500万円程度になります。こだわったデザインや特殊な設備を入れると、坪単価30万円を超えることもあります。
どちらの場合も、現在のオフィスの設備をどこまで活かせるかによって金額が変動します。事前にリフォーム会社に現地を見てもらい、活かせる部分と交換が必要な部分を仕分けてもらうことで、より正確な見積もりが出せます。
移転の場合は、新オフィスの内装工事費だけでなく、旧オフィスの退去費用と引越し費用が加わるため、トータルコストはリフォームよりも大幅に膨らみます。
主な費用項目は次のとおりです。
■ 旧オフィスの原状回復費
賃貸オフィスでは退去時に原状回復(入居前の状態に戻す工事)が義務づけられているのが一般的です。費用は坪単価3万〜10万円程度が目安です。
■ 新オフィスの初期費用
敷金(保証金)は賃料の6〜12か月分が相場です。これに加えて、仲介手数料・火災保険料・事務手数料などが発生します。
■ 新オフィスの内装工事費
スケルトン物件であれば坪単価30万〜50万円、居抜き物件であれば坪単価10万〜20万円程度が目安です。
■ 引越し費用
オフィス家具・機器・書類の運搬費用として、社員1人あたり3万〜5万円程度が目安です。50名規模なら150万〜250万円ほどかかります。
ここまでの費用を、50坪のオフィスを例にざっくり比較してみましょう。
■ 内装リフォーム(全面改装の場合)
工事費のみで1,000万〜1,500万円程度。
■ 移転の場合
原状回復150万〜500万円+新オフィスの敷金(賃料30万円×12か月=360万円)+新オフィスの内装工事1,500万〜2,500万円+引越し費150万〜250万円。合計で2,000万〜3,500万円以上になることも珍しくありません。
同じ規模のオフィスで比較すると、移転のトータルコストはリフォームの2〜3倍になるケースがほとんどです。もちろん、費用だけで判断すべきではありませんが、「今のオフィスで課題が解決できるなら、リフォームのほうが経済合理性が高い」のは確かです。原状回復工事の詳しい解説はこちらの記事もあわせてご覧ください。オフィス移転時に忘れてはいけない退去時の「原状回復工事」とは?
費用と同じくらい重要なのが、「どれくらいの期間がかかり、その間の業務にどんな影響があるか」です。
費用だけを見ればリフォームが有利ですが、工期や業務への影響も含めて総合的に判断しましょう。
工期の違いは、想像以上に大きいものがあります。
■ 内装リフォームの場合
部分改装であれば1〜2週間、全面改装でも4〜6週間程度が一般的です。工事の計画から完了まで、着手を決めてから1〜2か月で新しいオフィス環境が手に入ります。
■ 移転の場合
物件探しから始めると、候補選定・内見・契約・内装設計・施工・引越しまで、全体で3〜6か月かかるのが一般的です。大規模なオフィスや特殊な設備が必要な場合は、半年以上かかることもあります。
「できるだけ早くオフィス環境を改善したい」という場合は、リフォームのスピード感が大きな強みになります。移転の場合は、物件探しの段階で候補がなかなか見つからず、計画が長期化するケースも少なくありません。
内装リフォームのもうひとつのメリットは、業務を続けながら工事を進められる可能性があることです。
部分改装であれば、工事エリアと執務エリアを養生で仕切り、フロアの半分ずつ工事する「居ながら施工」が可能なケースがあります。週末や夜間に工事を行うことで、平日の業務への影響を最小限に抑える方法もあります。
全面改装の場合は一時的にオフィスを空ける必要がありますが、それでも移転と比べれば期間は短く、住所変更も不要なため業務の中断は限定的です。
「営業を止められない」「顧客対応を途切れさせたくない」という企業にとって、業務を継続しながら進められるリフォームは現実的な選択肢です。居ながら施工が可能かどうかは、工事の内容とオフィスのレイアウトによるため、事前にリフォーム会社に確認しましょう。
移転には、内装工事や引越し以外にも「見えないコスト」が多く発生します。
法人登記の住所変更、税務署・社会保険事務所・銀行への届出、名刺・封筒・パンフレットの刷り直し、ウェブサイトやGoogleビジネスプロフィールの住所更新、取引先への移転案内の送付。こうした手続きに費やす社内の人件費と時間は、見積もりには載らない隠れたコストです。
さらに、移転先の住所が取引先や顧客にとってアクセスしにくい場所になると、来訪数の減少や取引先との関係に影響が出るリスクもあります。
リフォームであれば住所は変わらないため、これらの手続きやリスクは一切発生しません。「費用と工期だけでなく、移転に伴う間接コストも含めてトータルで比較する」という視点が、正しい判断につながります。
費用と工期ではリフォームが有利ですが、だからといってすべてのケースでリフォームが正解とは限りません。
大切なのは、「今のオフィスが抱えている課題が、リフォームで解決できるものかどうか」を見極めることです。ここでは、リフォーム向きの課題と移転が必要な課題を整理します。
次のような課題であれば、移転しなくても内装リフォームで十分に解決できます。
■ レイアウトが業務に合わなくなった
固定席からフリーアドレスに変えたい、会議室を増やしたい、集中ブースを設けたいといったレイアウトの見直しは、間仕切りの変更やデスク配置の再設計で対応できます。
■ 内装の老朽化で見た目の印象が悪い
壁紙の汚れ、カーペットの劣化、照明の暗さなどは、内装リフォームで見違えるほど改善できます。来客や採用面接で第一印象を左右するエントランスまわりだけでも手を入れると、企業イメージが大きく変わります。
■ 働き方の変化にオフィスが追いついていない
テレワーク導入後にオフィスの使い方が変わり、余ったスペースを有効活用したい、Web会議用の個室ブースが欲しいといった課題も、リフォームで対応しやすい領域です。オフィスリフォームの可能範囲についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。オフィスの内装リフォームってなんでもできる?
一方、次のような課題はリフォームでは根本的に解決できないため、移転を検討すべきケースです。
■ 物理的に面積が足りない
社員数の増加でデスクが置ききれない、倉庫スペースが確保できないなど、物理的な広さの問題はリフォームでは解決できません。レイアウトの工夫で若干の余裕は生み出せますが、根本的な面積不足は移転でしか対応できません。
■ 立地・アクセスに問題がある
採用活動で不利になっている、取引先が集中するエリアから離れている、最寄り駅からのアクセスが悪いといった立地の課題は、いくら内装を変えても解消されません。
■ ビルの設備が限界に達している
空調の能力不足、電気容量の上限、エレベーターの台数不足など、ビル自体の設備に限界がある場合は、リフォームではなくビル側の問題になります。オーナーに設備更新を相談する選択肢もありますが、対応してもらえない場合は移転を検討するしかありません。
自社の課題がリフォーム向きか移転向きかを判断するために、次の5つのポイントをチェックしてみてください。
1.今のオフィスの面積で、今後3〜5年の人員計画に対応できるか? → 対応できないなら移転寄り
2.課題の中心は「レイアウト」「内装の老朽化」「働き方への対応」か? → これらが中心ならリフォーム向き
3.立地やアクセスに不満があるか? → あるなら移転寄り
4.ビルの設備(空調・電気・エレベーター)に不満があるか? → あるなら移転寄り
5.移転のトータルコスト(原状回復+敷金+内装+引越し)を出してもなお移転すべきと思えるか? → 迷うならリフォームで解決できないか検討する価値がある
5つのうち3つ以上が「移転寄り」に該当する場合は移転を、そうでなければまず内装リフォームで解決できる範囲を検討するのがおすすめです。
「リフォームで進めよう」と決めたら、次に考えたいのが費用の抑え方です。
オフィスの内装リフォームは、やり方次第で数百万円単位のコスト差が出ることがあります。品質を落とさずに費用を抑えるための4つのポイントを紹介します。
オフィスの内装すべてに同じ予算をかける必要はありません。
来客やお客様の目に触れるエントランス・受付・応接室にはしっかり予算をかけ、社員だけが使うバックオフィスや倉庫はシンプルな仕上げにする。このメリハリだけで、全体の工事費を20〜30%抑えられるケースもあります。
採用力の強化が目的であれば、面接で使う会議室やオフィスの第一印象を決めるエントランスに重点を置くのが効果的です。「どこにお金をかけると課題の解決につながるか」を基準に、優先順位をつけましょう。最新のオフィスデザインのトレンドについてはこちらの記事もご参考にどうぞ。いまどきのオフィスはどんな感じ? ~かっこいいオフィスの施工事例~
全面改装だからといって、すべてを新しくする必要はありません。
まだ使える空調設備、状態の良いOAフロア、十分に機能しているパーティションは、そのまま活かすことで撤去費と新設費の両方を削減できます。デスクやチェアなど什器類も、レイアウト変更に合わせて再配置するだけで対応できるものは買い替え不要です。
リフォーム会社に現地を見てもらう際に、「活かせるものと交換が必要なものを仕分けてほしい」と伝えると、無駄のない見積もりが出やすくなります。
賃貸オフィスの場合、内装リフォームにはビルオーナー(または管理会社)の許可が必要です。
許可なく工事を進めてしまうと、退去時に原状回復として高額な費用を請求されるリスクがあります。とくに次のような工事は、事前確認が欠かせません。
・間仕切り壁の新設・撤去
・床材の張り替え(OAフロアの上を含む)
・電気設備の増設・配線の変更
・壁や天井への穴あけ(看板・サイン類の取り付けなど)
許可されている工事の範囲と、退去時にどこまで原状回復が必要かを契約書で確認しておくことが、想定外の出費を防ぐカギです。リフォーム会社がオーナーとの折衝を代行してくれるケースもあるため、早めに相談しておきましょう。
工事期間中にオフィスを空ける場合、仮オフィスの賃料や社員の移動コストが追加で発生します。
居ながら施工(業務を続けながらエリアを区切って工事する方法)が可能であれば、これらの追加コストを丸ごと省けます。とくに部分改装やレイアウト変更が中心の工事であれば、居ながら施工で対応できるケースは少なくありません。
週末や営業時間外に工事を集中させるスケジュールも、業者と相談すれば対応できることがあります。「業務を止めたくないけど、内装は変えたい」という場合は、相談の初期段階で「居ながら工事は可能ですか」と聞いてみてください。
オフィスの内装リフォームと移転は、費用・工期・業務への影響のすべてにおいて大きな差があります。同じ50坪のオフィスで比較すると、移転のトータルコストはリフォームの2〜3倍。工期もリフォームの数週間に対し、移転は3〜6か月かかります。
だからといって、すべてのケースでリフォームが正解とは限りません。面積の不足、立地の問題、ビル設備の限界など、リフォームでは解決できない課題があるのも事実です。大切なのは、「自社の課題がリフォームで解決できるものかどうか」を正しく見極めることです。
迷ったときにおすすめなのは、「移転を決める前に、まず今のオフィスでどこまでできるかをプロに確認してみる」という進め方です。現地を見てもらうことで、「リフォームで十分に対応できる」と判断できれば、移転の何分の一かのコストと期間でオフィス環境を改善できます。
イエスリフォームでは、オフィスの内装リフォームについて、現地調査からレイアウトのご提案、ビルオーナーとの調整、施工まで一貫して対応しています。「リフォームと移転で迷っている」「まず今のオフィスで何ができるか見てほしい」という段階からでも、お気軽にお問い合わせください。
リフォーム・リノベーションをお考えのお客さまは、株式会社イエスリフォームまでご相談くださいませ。
相談お見積りには費用はかかりません。
また、リフォーム・リノベーションのセカンドオピニオンもおこなっています。お気軽にご相談ください
英語での対応も可能です。
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